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「捨てられないもの」恋愛小説/掌編


デビューする前、大学生のときに書いた掌編です。
あの頃、心のなかは、いつもさみしさでいっぱいだった。



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photo:chiren



捨てられないもの

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 もうダメになりそうだった。というより、わたしたちはダメになっていた。
「ねえ、この雑誌、もういらないでしょ」
 正午過ぎ、テレビの向こうでは、笑っていいともが流れている。タモリさんは毎回ゲストから色々なおみあげを貰うけれど、それがいらなくなったとき、どうするのだろう。簡単に捨ててしまうのだろうか。
「あー……」
「いるの?」
「んー……」
 ふたりで住んでいる六畳の小さなワンルームに、特に大切にしているわけでもなければ、気に入っているわけでもない、言ってしまえばゴミ箱逝き直前の捨てられないものがあふれかえる。
「じゃ、捨てるよ」
「あー、だめだめ、いつか、見るかもしんないし」
 ミレオはそう言って雑誌をふたたび、元の位置へ投げた。
 六畳の小さなワンルームに、ミレオが捨てられないものがあふれかえる。わたしもきっとその捨てられないものの一部だとおもうと、ミレオの言うとおり、その雑誌を捨てることができなかった。

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by chiren kina / 木爾チレン



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by 1000ve | 2018-02-08 16:23 | 掌編 | Trackback | Comments(0)

小説家の木爾チレン(chiren kina)です。このブログでは、電車のなかや、カフェ、学校の休み時間にゆるく読んでいただけるような「掌編」を中心に、お仕事のお知らせ、どこにも発表するあてのない小説、日々の戯言など、ふんわりと掲載していけたらと思っています。


by 木爾チレン / chirenkina